一、 肩の痛みはなぜ起こるのか 肩の痛みは、長年の生活習慣や加齢に伴う身体の変化が積み重なって現れることが少なくありません。

• 日常の悪い姿勢：スマートフォンやパソコンの長時間使用、あるいは家事での前かがみ姿勢が続くと、肩から首の筋肉が緊張し、疲労が蓄積します。
• 肩の使いすぎ：お孫さんを抱っこする、庭仕事をするなどの繰り返し動作により、肩の腱や滑液包に負担がかかり、炎症を起こすことがあります。
• 過去の怪我と加齢：若い頃の捻挫や打撲、また年齢を重ねるにつれての腱や軟骨の脆弱化が原因となることもあり、特に「五十肩」は代表的な例です。
• 冷えと血行不良：ご年齢とともに血行が悪くなりやすく、肩を冷やすことで筋肉が硬直し、痛みを感じやすくなります。
• ストレスの影響：知らず知らずのうちに感じている精神的な緊張が、肩に力が入る原因となることもあります。

二、 肩の痛みから考えられる他の病気 肩の痛みが、体の他の部分からのサインである可能性もあります。

• 首の病気（頚椎症）：頚椎の変形や椎間板の異常が神経を圧迫し、肩や腕に痛みやしびれを引き起こすことがあります。
• 心臓の病気のシグナル：特に左肩の痛みが、狭心症や心筋梗塞の前兆である場合があり、胸の圧迫感や息苦しさを伴う時は緊急の対応が必要です。
• 内臓の病気に関連する痛み：右肩の痛みが胆のう炎や胆石症に関係したり、背中にかけての痛みが胃や膵臓の不調と関連したりすることがあります。
• 関節リウマチ：免疫の異常により肩関節に炎症が起き、朝のこわばりや腫れを伴う痛みが続くことがあります。
• 糖尿病との関わり：糖尿病の方は血行や組織の修復機能が低下しやすく、「五十肩」を発症するリスクが高まります。

三、 自宅で実践できる肩の痛み緩和法 無理のない範囲で、以下の方法を日常に取り入れてみましょう。

• 優しいストレッチ：振り子運動：少し前かがみになり、痛む方の腕をだらんと下げ、振り子のように優しく揺らします。壁伝いのストレッチ：壁に向かい、指で壁を「歩かせる」ようにして、ゆっくりと腕を上げていきます。
• 温めて血行促進：慢性的なこりや痛みには、温めたタオルや湯たんぽで肩を15～20分程度温めると、筋肉がほぐれ血行が改善されます。
• 日常生活の工夫：座るときは背筋を伸ばし、足元に台を置いて膝が股関節より少し低くなるようにします。寝るときは、首のカーブを自然に支えられる高さの枕を選びましょう。
• 心地よいマッサージ：ご家族に、手のひらや指の腹で優しく肩や首をもんでもらうことで、凝り固まった筋肉をリラックスさせます。
• 薬の適切な使用：薬剤師や医師に相談の上、消炎鎮痛効果のある貼り薬や塗り薬を利用できます。内服薬は、特に胃腸や腎臓が弱い方は注意が必要です。
• 筋力のキープと強化：ゴムバンドを使った軽い筋トレ（腕を後ろに引く、横に開くなど）で、肩関節を支える筋肉を強化します。
• 保温とこころのケア：冷房の効いた部屋ではストールを羽織るなど、肩を冷やさないようにします。また、深呼吸や好きな音楽を聴くなどして、心と体の緊張をほぐす時間を持ちましょう。

まとめ： 肩の痛みは、日々の生活と身体の変化が織り成す結果であり、時には他の病気を知らせるサインでもあります。姿勢の改善、無理のないストレッチ、保温といった日頃のケアで、多くの不快な症状は和らげることができます。しかし、激しい痛みが続く、またはめまいやしびれなどの他の症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。